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文書の過去の版を表示しています。
journal:部会誌 原子力バックエンド研究
このセクションでは、今後発行される部会誌に収録予定の研究論文、技術報告などを先行公開しています。
(巻、号は未確定)
〔2017年4月3日 掲載〕
地層処分におけるガラス固化体の溶解寿命を再評価した.我が国での地層処分の技術的可能性を論じた報告では,時間と共に処分温度が低下することや表面積が減少することなどを無視しているため,ガラス固化体の溶解寿命は約7 万年と過小評価されている.しかし,これらの変化は物理的に確実に起こるものであるので,これらを無視せずに再評価を試みた.表面積の変化を考慮するために亀裂を有するガラス固化体を3つのモデル,すなわち,単一平板,単一粒径の小球群,べき乗粒径分布を持つ小球群,で表現した.すべてのモデルの全体積は円柱状のガラス固化体と同じで,製造時の割れを考慮して全表面積は円柱状のそれの10倍とした.寿命評価の結果,初期量の50%が溶解するまでの時間は,3つのモデルとも7万年を超え,溶解寿命は17~70万年となった.これから,従来の評価ではガラス固化体が核種を保持する能力が過小評価されていることが判った.
〔2017年3月4日 掲載〕
福島第一原子力発電所の事故起源の放射性セシウムにより汚染された森林の除染に関して,居住区域における空間線量率が効果的に低減する線源の条件や除染の範囲を解析し,検討した.線源を134Cs および137Cs を含む堆積有機物層(A0層)と表層土(A1 層)とし,モンテカルロ法による3次元輸送計算コードMCNP を用いて空間線量率を算出した.森林斜面の数,汚染の分布状態,森林土壌中の放射性セシウムの量,森林土壌の傾斜角,除染範囲,林縁から評価点までの距離,評価点の高さをパラメータとした.その結果,汚染の分布状態が均一の場合,林縁から20 m までのA0 層の除染が,空間線量率の低減に効果的であることがわかった.一方,林縁から20 m 以遠の汚染が20 m 以内よりも高いような,汚染の分布状態が不均一の場合,A1 層に比べA0 層に含まれる放射性セシウムの量が多い条件においてのみ,林縁から40 m までのA0 層の除染により,空間線量率が顕著に低減した.